感染症学雑誌
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宿主細胞への吸着, 侵入中・後のChlamydia trachomatis, nucleoidの位置に関する超微形態学的研究
石井 英昭奥平 雅彦倉林 良幸細村 泰夫城下 尚
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1992 年 66 巻 4 号 p. 490-496

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抄録

Chlamydia trachomatis (C. trachomatis) はelementary body (EB) 期では0.4~0.5μm径の類球形で, nucleoidがC. trachomatis内に偏在して位置している. この偏在するnucleoidと宿主細胞表面との間の位置関係を, 吸着および侵入中.後について超微形態学的に観察し以下の結果を得た。
C. trachomatisが宿主細胞に吸着・侵入するときには, C. trachomatisはnucleoidが宿主細胞表面に対して有意に遠位側になるように位置し (67個中44個, 66%), x2検定 (1×3chi-square test) において, その危険率は0.001以下 (p<0.001) である.
宿主細胞に侵入後, C. trachomatisはnucleoidが宿主細胞表面に対して有意に近位側になるように位置し (138個中61個, 44%), x2検定 (1×3chi-square test) において, その危険率は0.001以下 (p<0.001) である.
しかしC. trachomatisと宿主細胞との関係において, 侵入後nucleoidが宿主細胞表面に対して近位側であるC. trachomatisの割合 (44%) は, 吸着または侵入中のnucleoidが宿主細胞表面に対して遠位側であるC. trachomatisの割合 (66%) よりも少なく, これは吸着から侵入にかけて一部のC. trachomatisが有意に回転していることを示すものであり, x2検定 (2×3chi-square test) において, その危険率は0.001以上 (p<0.001) である.

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