感染症学雑誌
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クラリスロマイシンのマクロファージ機能に対する影響
徐 光藤田 次郎根ケ山 清大西 隆行宮脇 裕史北条 聡子瀧川 圭一岡田 宏基山地 康文高原 二郎
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1995 年 69 巻 8 号 p. 864-872

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抄録

今回我々はエリスロマイシンの誘導体であるクラリスロマイシンのマクロファージ各種機能に与える影響について検討した.検討した項目は直接作用として, i) 遊走能, ii) 運動能, および, iii) 増殖能, に対する影響を検討した.また間接作用として, i) ビーズ貧食能, ii) lipopolysaccharide (以下LPS) に対する遊走能, および, iii) Candida albicans殺菌能, に対する影響を検討した. さらにエンドトキサン処理で貧食能, 遊走能, 殺菌能の低下したマクロファージに対するクラリスロマイシンの影響についても検討した. クラリスロマイシンはマクロファージへの直接作用として, 遊走能, 運動能を増強し, さらに増殖促進作用を示した. また間接作用として, ビーズ貧食能, LPSに対する遊走能, およびCandida albicans殺菌能のいずれも増強した. さらにエンドトキシン処理で低下した貧食能, 遊走能, 殺菌能のいずれをも回復した. これらの効果はクラリスロマイシン0.02~0.1μg/ml濃度で認められ, 臨床的にも到達可能な濃度で効果を示した. クラリスロマイシンによるマクロファージの活性化は慢性下気道感染症に対するクラリスロマイシンの有効性を説明する一因子となりうる可能性が示唆された. また抗癌剤投与時などの免疫抑制を回復させるという目的でのクラリスロマイシンの有用性が示唆された.

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