感染症学雑誌
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真菌血症起因真菌の推移と臨床的検討
山上 由理子田代 隆良時松 一成永井 寛之長岡 博志橋本 敦郎後藤 陽一郎那須 勝山崎 透伊東 盛夫
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1995 年 69 巻 8 号 p. 890-894

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抄録

1981年10月から1992年12月までの12年間の大分医科大学附属病院における真菌血症の起因真菌の推移について検討した. 血液培養陽性789例中, 真菌検出例は113例 (14.2%) であり, I期 (1981~1985年) 13.0%, II期 (1986~1988年) 12.1%, III期 (1989~1992年) 16.9%と増加傾向にあった. 真菌菌種ではCandida parapsilosisが29例 (25.7%), C. albicansが28例 (24.8%) と最も多く, 以下, C. tropicalis16例 (14.2%), Trichosporon beigelii 12例 (10.6%), C. glabrata 9例 (8.0%) などであった. 基礎疾患別に起因真菌をみると血液疾患ではT. beigeliiの占める割合が大きく, C. albicans C.parapsilosisの減少とC. glabrataの増加がみられた. 非血液疾患では, C. parapsilosis, C. albicansが多数を占め, C. glabrataも増加していた. 基礎疾患による起因真菌の違いと推移には抗真菌剤による選択が働いていることが示唆された.

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© 日本感染症学会
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