肝細胞癌 (HCC) の10年以上の長期生存の条件を明らかにする目的で, 自験5例についてその臨床経過を検討した. 1例は, 肝切除により10年間以上無再発であった. この症例を除きあとの4例はいずれも再発を繰り返した. 再発例はTAEやPEITで繰り返し治療を行った. 初発巣の治療から5年以上経過して再発した病変に対しては, PEITの繰り返しによりHCCの進行を遅らせることができたと思える. 肝切除後全く無再発の経過を辿る例を除いて, 初期病変に対するPEIT+TAEによる完治を目指すことと, 再発巣に対しては早期に局所治療を繰り返すことが, 長期生存を得るために必要であると思われた.