抄録
当院において過去10年間に経験した肝膿瘍51例の原因及び臨床経過について検討した.細菌性肝膿瘍(43例)ではアメーバ性(6例)と比較し,高齢で膿瘍径は小さく,その感染経路では乳頭形成術後の症例が34%にみられた.またKlebsiella p.の占める割合が増加していた.アメーバ性は全例男性で細菌性と比較し,腹痛及び下痢の占める割合が有意に高く,消化管穿破例が2例みられた.アメーバ原虫検出例は1例(17%)のみで診断には血清アメーバ抗体価の測定が6例(100%)陽性であり有用であった.真菌性は化学療法中の顆粒球減少症の2例で小膿瘍が多発し治療は長期化していた.肝膿瘍は早期の診断と加療が必要であり,その臨床的特徴を十分把握することが重要である.