肝臓
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49 巻, 3 号
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特集
原著
  • 高橋 百合美, 影山 富士人, 竹平 安則, 山田 正美, 室久 剛, 片岡 英樹, 佐野 宗孝, 岩岡 泰志, 池谷 真苗, 寺井 智宏, ...
    原稿種別: 原著
    2008 年49 巻3 号 p. 101-107
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/31
    ジャーナル フリー
    当院において過去10年間に経験した肝膿瘍51例の原因及び臨床経過について検討した.細菌性肝膿瘍(43例)ではアメーバ性(6例)と比較し,高齢で膿瘍径は小さく,その感染経路では乳頭形成術後の症例が34%にみられた.またKlebsiella p.の占める割合が増加していた.アメーバ性は全例男性で細菌性と比較し,腹痛及び下痢の占める割合が有意に高く,消化管穿破例が2例みられた.アメーバ原虫検出例は1例(17%)のみで診断には血清アメーバ抗体価の測定が6例(100%)陽性であり有用であった.真菌性は化学療法中の顆粒球減少症の2例で小膿瘍が多発し治療は長期化していた.肝膿瘍は早期の診断と加療が必要であり,その臨床的特徴を十分把握することが重要である.
症例報告
  • 安部 宏, 北原 拓也, 吉澤 海, 松坂 憲, 会澤 亮一, 松岡 美佳, 相澤 良夫
    原稿種別: 症例報告
    2008 年49 巻3 号 p. 108-112
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/31
    ジャーナル フリー
    69歳,女性.てんかんの診断でバルプロ酸ナトリウム(VPA)を内服開始2カ月後に皮膚黄染・褐色尿が出現し,VPAによる薬物性肝障害と診断した.高度の肝障害で,急性肝不全への進展を危惧し,VPA中止とともに副腎皮質ステロイド(PSL)を開始したところ肝障害は急速に改善した.しかし,入院時より徐々に進行していた貧血がPSL投与終了時より顕著となり,輸血を要した.骨髄穿刺所見より赤芽球癆と診断し,cyclosporin A(CyA)投与を開始したところ貧血の改善を認めた.VPAによる赤芽球癆の成人例報告はまれであり,薬物性肝障害を同時に発症した症例の報告はない.VPAにより2種類の重篤な副作用が惹起されたことは,それぞれの副作用発症機序を考察する上で示唆に富むと考え報告する.
  • 平峯 靖也, 樋脇 卓也, 庄 幸彦, 馬場 芳郎, 今村 也寸志, 田原 憲治, 窪薗 修, 浜之上 雅博, 前之原 茂穂, 宇都 浩文, ...
    原稿種別: 症例報告
    2008 年49 巻3 号 p. 113-121
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は55歳男性,生来健康.平成12年10月吐血のため近医に入院した.上部消化管内視鏡検査で食道静脈瘤破裂を認め,内視鏡的静脈瘤結紮術と内視鏡的硬化療法を受けた.その後,吐血・治療を繰り返し,平成16年4月4回目の吐血があり,止血不能で当院に入院した.度重なる治療により粘膜はひきつれ,出血源も不明瞭であった.内視鏡的治療は困難と判断し,外科的治療を行った.術中採取した肝組織や血液検査結果より,門脈圧亢進症の原因は特発性門脈圧亢進症(IPH)と診断した.その後,約2年間は再出血しなかったが,平成18年5月吐血のため当院に再入院した.下部食道にはF0静脈瘤が発達し,内視鏡的止血を試みるも不可能であった.腹部血管造影検査では,左胃動脈よりすだれ様血管が抽出されたため,左胃動脈に対して経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)を施行した.TAE直後より止血され,現在まで良好に経過している.
短報
  • 塩月 香那子, 後藤 貴史, 宮明 寿光, 市川 辰樹, 中尾 一彦, 江口 勝美
    原稿種別: 短報
    2008 年49 巻3 号 p. 122-124
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/31
    ジャーナル フリー
    Development of type 1 diabetes mellitus (T1DM) has been reported in patients receiving interferon (IFN) therapy for hepatitis C virus (HCV) infection. We studied two patients with chronic HCV infection who had an anti-glutamic acid decarboxylase antibody (GAD-ab) before IFN therapy. Their blood sugar and GAD-ab levels were monitored during IFN therapy. Case 1 was a 61-year-old man with 16.9 U/mL of GAD-ab. The GAD-ab level decreased during IFN therapy, but remained positive. Case 2 was a 65-year-old woman with 2.0 U/mL of GAD-ab. Her GAD-ab level increased during IFN therapy, but decreased after withdrawal of IFN. Insulin secretion in both patients was kept within physiologically normal range during IFN therapy, and the treatment was completed without developing T1DM in both cases.
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