抄録
肝動注化学塞栓治療,肝切除,ラジオ波焼灼療法を用いた集学的治療により良好にコントロールされた高度進行肝細胞癌の1例を報告する.症例は60歳の男性.腹痛,倦怠感あり.近医にて肝細胞癌と診断された.肝左葉に10 cmを超える巨大な腫瘍を認め,両葉に多数の娘結節を伴い,さらに門脈侵襲あり(Vp3)の高度進行肝細胞癌と診断した.リピオドールと動注用シスプラチン微粉末製剤(動注用アイエーコール)を混和した懸濁液を用いて肝動注化学塞栓療法を4クール施行.右葉の娘結節の消失を認めたため肝左葉切除術を施行.その後,動脈乏血性の小腫瘍に対し経皮的ラジオ波焼灼療法施行.初診より2年4カ月の現在,再発の徴候を認めず,外来にて経過観察中である.動注用アイエーコールを用いた肝動注化学塞栓療法は有効性に優れ,また,速やかな治療効果を期待できることから,同様の症例に対して有用な治療の選択肢となりうると考えられた.