肝臓
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49 巻, 7 号
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原著
  • 豊田 成司, 狩野 吉康, 赤池 淳, 大村 卓味, 佐藤 隆啓, 山崎 克, 桑田 靖昭, 荒川 智宏, 古谷 茂之, 松山 和弘, 原田 ...
    原稿種別: 原著
    2008 年 49 巻 7 号 p. 297-306
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    PEG-IFNα-2b/リバビリン併用療法を施行したC型肝炎93例を対象に,治療前および治療中のウイルス動態をAmp-MおよびAmp-QとTaqManで比較検討した.投与前HCV RNA量とウイルス学的有効性との関連では,Amp-Mには明らかな一定の傾向が認められなかったが,TaqManではRNA量が5- log台で68.8%と高いSVR率が得られるとともに7- log以上の高ウイルス症例では40%がNRとなっていた.HCV RNA陰性化時期をAmp-QとTaqManで比較すると,TaqManでは半数を超える症例が4週以上遅延した.特に,ウイルス減衰が緩慢な症例ほど両測定法間による陰性化時期の乖離が大きかった.また,投与初期のHCV dynamicsが有効性予測に重要な要因であることが確認された.以上より,TaqManはAmp-Qより高感度であり,またAmp-Mより高ウイルス領域まで直線性を有していることからC型肝炎に対するHCV RNAモニタリングに優れた測定法であると考えられた.
症例報告
  • 佐藤 明, 足立 香代, 石井 俊哉, 山口 雅代, 小林 美佳, 林 幹人, 田端 美弥子, 野元 雅仁, 二階 亮
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 49 巻 7 号 p. 307-313
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.C型肝硬変のため近医で肝庇護剤により加療中,2005年AFPの上昇あり当院に紹介となった.画像検査で肝細胞癌は認めなかったが,内視鏡検査で軽度の食道静脈瘤と胃静脈瘤(Lgf:F3, RC-)を認めた.腹水,脳症は認めず,T. Bilの軽度上昇とプロトロンビン(PT)活性の低下がみられChild-Pugh(CP)scoreは8点であった.HCV-genotype 2a, RNA量は低値であったため,BRTOにて胃静脈瘤を治療後,IFN-β 600万単位連日後300万単位週3回を計32週間投与した.投与終了後1年を経過しHCV-RNAの持続陰性化とともに,T. Bil, PT活性は改善しCP scoreは5点となっている.静脈瘤を伴う進行したC型肝硬変でもgenotype,ウイルス量によってはIFN治療を検討すべきであると考えた.
  • 岩下 幸雄, 福澤 謙吾, 伊藤 心二, 渡邉 公紀, 杉田 諭, 椛島 章, 江口 博, 木下 忠彦, 本廣 昭, 若杉 健三
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 49 巻 7 号 p. 314-319
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    肝動注化学塞栓治療,肝切除,ラジオ波焼灼療法を用いた集学的治療により良好にコントロールされた高度進行肝細胞癌の1例を報告する.症例は60歳の男性.腹痛,倦怠感あり.近医にて肝細胞癌と診断された.肝左葉に10 cmを超える巨大な腫瘍を認め,両葉に多数の娘結節を伴い,さらに門脈侵襲あり(Vp3)の高度進行肝細胞癌と診断した.リピオドールと動注用シスプラチン微粉末製剤(動注用アイエーコール)を混和した懸濁液を用いて肝動注化学塞栓療法を4クール施行.右葉の娘結節の消失を認めたため肝左葉切除術を施行.その後,動脈乏血性の小腫瘍に対し経皮的ラジオ波焼灼療法施行.初診より2年4カ月の現在,再発の徴候を認めず,外来にて経過観察中である.動注用アイエーコールを用いた肝動注化学塞栓療法は有効性に優れ,また,速やかな治療効果を期待できることから,同様の症例に対して有用な治療の選択肢となりうると考えられた.
  • 寒原 芳浩, 吉川 卓郎, 土田 忍, 上野 公彦, 岩崎 寿光, 中村 毅, 廣畑 成也, 埴岡 啓介, 深水 眞知子
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 49 巻 7 号 p. 320-326
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の男性.門脈本幹に腫瘍栓の進展を認める肝細胞癌に対してlow dose FP動注療法を行いCRが得られた.以後外来にて5-Fu 750 mgの動注治療を1年4カ月にわたり継続した.治療開始2年後に両側の多発性肺転移・単発脳転移を認めた.QOLを考慮し脳の転移巣を切除し,5-Fuを基本とした全身化学療法(CDDPおよびEPIを併用)を行なうも効果は得られなかった.肺転移の増悪のため化学療法をすべて中止し,十全大補湯(TJ-48)の投与を開始した.十全大補湯投与開始5カ月後に血清AFPおよびPIVKAIIは正常値になり,肺転移巣は痕跡となり,CRを2年維持している.肺転移は化学療法終了時増悪傾向を呈しており,その治癒には十全大補湯が強く関与していると考えられた.文献的考察を加え報告する.
  • 坂本 夏美, 佐藤 匡記, 高橋 裕太, 本間 史子, 物江 恭子, 菅野 有紀子, 斉藤 広信, 阿部 和道, 高橋 敦史, 横川 順子, ...
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 49 巻 7 号 p. 327-332
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    症例は58歳女性.1997年に近医で原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断された.2001年に溶連菌感染による丹毒,および急性糸球体腎炎を発症し,当院に入院した.入院時より汎血球減少,甲状腺機能低下があり,ACTH単独欠損症と診断された.また,この際,橋本病と診断された.ハイドロコルチゾン内服開始後汎血球減少,甲状腺機能低下症ともに改善し退院した.2007年めまい,嘔吐,体動困難のため当院に入院した.副腎不全に伴う症状であり,ステロイド投与後一時状態は改善したが,その後肺炎を発症し呼吸不全およびDICによる多臓器不全のため永眠した.PBCとACTH単独欠損症はともに自己免疫疾患と考えられているが検索の範囲では合併例の報告は1例のみであった.貴重な症例と考えられたため若干の考察を加え報告する.
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