抄録
症例は87歳,男性.85歳時に肝細胞癌を発症し,肝切除を施行した.以後,多発再発に対し,transcatheter arterial chemoembolizationを行ったが奏功せず,sorafenibを導入した.導入2カ月後のCTでは,腫瘍径の増大が認められたが,腫瘍血流の明瞭な低下も認められた.また,肝臓内外に新規病変の出現も認められたが,肝臓内病変の腫瘍血流は低下した状態であった.Modified RECISTによる効果判定ではProgressive Diseaseであった.患者の意思を尊重しsorafenib投与を継続した所,効果判定後4カ月間,画像所見・PIVKA-IIの上昇率ともに増悪は認められず病勢の制御が可能となった.導入6カ月後のCTにて,肝癌に淡い造影効果が再燃し,PIVKA-IIの上昇率増悪も認められ,臨床的な増悪が示唆された.画像効果判定に従い導入2カ月後でsorafenib投与を終了すべきであったとは言い難い経過であり,報告する.