肝臓
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症例報告
高ウイルス量妊婦へのラミブジン投与によるB型肝炎ウイルス母子感染予防
杉浦 時雄遠藤 剛伊藤 孝一鈴森 伸宏齋藤 伸治田中 靖人
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2012 年 53 巻 10 号 p. 610-614

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抄録
症例は33歳女性.B型肝炎ウイルス(HBV)無症候性キャリア.3年前に第一子出産.第一子は女児.通常通り出生時と生後2カ月時にHBIG,生後2,3,5カ月時にHBワクチンを接種.生後1カ月時点でHBs抗原陰性だったが,生後6カ月時にHBs抗原陽性が判明.今回第二子妊娠を契機にHBV母子感染予防目的で来院.HBs抗原陽性,HBe抗原陽性,HBe抗体陰性.HBV DNA 9.1 log copies/ml.妊娠28週からラミブジンの内服を開始した.ウイルス量は出産前にHBV DNA 6.3 log copies/mlまで低下した.出産後3カ月でラミブジン内服中止.内服中止後もトランスアミナーゼ値上昇は認めていない.第二子は女児.通常通りHBIGとHBワクチンを接種.生後1歳時点でHBs抗原陰性を確認している.HBV高ウイルス量妊婦では,母子感染対策として妊娠後期のラミブジン投与が有効である.
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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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