肝臓
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症例報告
右側肝円索を伴う肝細胞癌に対して肝右傍正中領域背側部切除術を施行した1例
坂元 克考西躰 隆太間中 大濱洲 晋哉小西 小百合吉野 健史
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2012 年 53 巻 12 号 p. 868-874

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抄録

右側肝円索はまれにみられる解剖学的変異で胎生期の右側臍静脈遺残に起因すると考えられている.しかし,脈管・区域解剖に関してはいまだ見解が分かれているように感じられる.
今回,右側肝円索を伴う肝細胞癌の1例を経験したため,脈管・区域解剖を中心に若干の考察を加え,報告する.
症例は64歳の男性で,肝S8に7 cm大の肝細胞癌を指摘された.同時に右側肝円索も認めた.系統的切除として肝右傍正中領域背側部切除術を施行した.
右側肝円索例においては正常解剖例に比較して右肝が著明に発達している.すなわち右傍正中領域が大きく発達し,反対にS4は低形成である.このことが肝静脈の発達程度に影響を与え,各静脈枝の解剖学的名称に誤解を生み,結果として区域解剖への見解の相違へとつながる.発生学的には右側肝円索例においても正常解剖例と同様に脈管・区域分布は左右対称と考えることが,正しい解剖の理解につながる.

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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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