抄録
症例は76歳女性.偶然指摘された肝胆道系酵素高値について精査し,AIHスコア7点確診例となり自己免疫性肝炎と診断した.プレドニゾロン(以下PSL)40 mg/日投与で治療を開始し,トランスアミナーゼ・IgGの改善に従ってPSLを漸減していたが,治療開始より4週目頃より発熱・咳嗽が出現した.誘発喀痰細胞診よりニューモシスチス肺炎(以下PCP)と診断,ST合剤を用いて治療を行い,症状は改善した.その間もPSL投与は中断せず,PSLを10 mg/日まで減量しトランスアミナーゼ・IgGが安定して正常範囲内にあることを確認して退院とした.PCPは,消化器領域での合併報告は多くないものの,発症すると急速に重篤な転機を辿ることもあり,早期診断・早期治療介入が必要である.消化器領域でもCorticosteroid投与の機会は少なからずあり,PCPを念頭に置いた経過観察と呼吸器症状出現の際の早期検査導入が望まれる.またPCPのハイリスクに該当する症例には,ST合剤予防投与も検討するべきである.