2018 年 59 巻 6 号 p. 264-272
症例は50歳代男性.胃癌手術の際にB型肝炎ウイルス感染を指摘され,エンテカビルでの治療を施行していた.経過中に肝細胞癌を指摘され,肝S8亜区域切除術を施行した.術後13日目に合併症なく退院したが,退院後4週が経過したところ41度の発熱,嘔吐,下痢,せん妄が生じたため救急搬送された.来院時ショック,DICを合併していた.敗血症性ショックと考え,循環管理,抗生剤投与,γグロブリン投与,Bacterial translocation対策を行った.後日血液培養,便培養よりAeromonas hydrophilaが検出された.経過は良好であり入院14日目に退院した.本菌は免疫能低下患者に感染すると致死率が非常に高いことが報告されている.本症例は慢性肝炎,胃切除後という2つの危険因子を有していた.敗血症性ショック,DICとなったが救命することができた1例を経験したので,最近の本邦報告例の検討を含め報告する.