肝臓
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症例報告
肝障害が発見の契機になったIgG4関連自己免疫性肝炎の1例
須藤 大輔村田 一素大竹 孝明一石 英一郎佐藤 貴一高橋 芳久岡田 真也福富 京高後 裕
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2018 年 59 巻 6 号 p. 277-283

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抄録

症例は生来健康な48歳女性.倦怠感,嘔気を主訴に近医を受診し,血液検査にて肝障害を指摘されて紹介受診した.入院時血液検査では,AST 868 IU/L,ALT 1,205 IU/L,Alp 479 IU/L,γ-GTP 254 IU/Lと肝細胞障害型の肝胆道系酵素異常を認めた.飲酒歴・薬剤内服歴なく,かつ各種肝炎ウイルスマーカーは陰性であった.自己免疫性肝炎(AIH)の急性発症を疑い,肝生検を施行したところ,門脈域を中心としたIgG4陽性形質細胞の浸潤を認め,かつ血清IgG4値が669 mg/dLと高値を示した.明らかな胆管への細胞浸潤は認めなかった.以上より,IgG4関連AIH(IgG4-AIH)と診断し,プレドニゾロン30 mg/日を投与したところ,肝障害は速やかに改善した.IgG4-AIHの報告は少なく,その臨床病理学的特徴は解明されていない.今後の詳細な解析が期待される.

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© 2018 一般社団法人 日本肝臓学会
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