2023 年 64 巻 3 号 p. 122-131
2009年1月から2018年12月までの間に倉敷中央病院で治療した肝細胞癌(HCC)患者756例のうち,非アルコール性脂肪性肝疾患の診断基準を満たした65例を解析した.年齢の中央値は76歳で,36例(55.4%)が男性であり,29例(44.6%)に肝硬変を認めた.サーベイランスを受けていたのは肝硬変患者の65.5%,非肝硬変患者の25%であり,サーベイランスなし群では,他疾患評価時の画像検査で偶発的に発見された例が最も多かった.HCC診断におけるAFP,PIVKA-II,超音波検査の感度はそれぞれ30.8%,72.3%,93.8%であった.多変量解析においてサーベイランスの実施は良好な全生存期間と有意に関連していた.まずは肝硬変患者に対するサーベイランスを徹底することが重要であるが,通常サーベイランスの対象にならない非肝硬変患者に生じるHCCをいかに早期発見するかが今後の課題である.