2007 年 46 巻 1 号 p. 10-15
東京湾に注ぐ河川の流域には2 700万人の人が暮らし,工業や産業的にもわが国最大の都市地域である. 20 世紀を中心とした沿岸開発により湾の面積は20 %減少した.特に干潟の面積減少は著しく,その 90 %以上が消失した.沿岸都市は,海岸景観,都市排水の受入れ,港湾機能など東京湾の存在,ならびにそこでの水質浄化,水産資源など生物の営みによる機能により支えられている.しかしその機能は,都市排水の増加と干潟の消失により大きく低下し,東京湾環境は危機的状況にある.そのなかで残された干潟は景観や生物機能において最も重要な役割を担っており,その環境保全と修復は湾と人間社会の良好な関係を持つうえで重要な課題となっている.