2024 年 65 巻 2 号 p. 58-65
症例は30代,女性.20XX年12月にSARS-CoV-2に感染した.その後,倦怠感が持続していたが,翌年6月の健診にて肝機能異常を指摘され,当科を受診した.20XX年10月までの健診では異常なく,急性肝炎の疑いで入院となった.飲酒歴はなく,腹部超音波,CT検査でも脂肪肝を認めなかった.血清学的検査にて,肝炎ウィルスマーカーは陰性で,サイトメガロウィルスとEpstein-Barrウィルスは既感染であった.抗核抗体陽性,抗ミトコンドリア抗体陰性で,自己免疫性肝炎(AIH)が疑われた.肝生検にて,中心静脈周囲に形質細胞,リンパ球浸潤,rosette形成を認め,急性期AIHに矛盾しない所見であった.グリチルリチン製剤と副腎皮質ステロイドの投与により,肝機能異常は改善し,それに応じて,持続していた倦怠感も消失した.SARS-CoV-2感染を契機にAIHを発症した可能性が考えられた.COVID-19罹患後に様々な症状が遷延するCOVID-19罹患後症状が知られており,倦怠感が持続する場合には,自己免疫原性の肝障害も鑑別に挙げる必要があると思われる.