50代男性.20XX年X月に,陰囊腫大と下腿浮腫を主訴に当院救急外来を受診した.腹部超音波検査および腹部造影CT検査で肝左葉内側区門脈および下大静脈への浸潤を伴う最大径60 mm大の腫瘍を認めた.精査の結果,下大静脈から両腸骨静脈に至る血栓を伴う主要血管浸潤を合併した肝細胞癌と診断した.Lenvatinibの投与と肝動注化学療法の交互治療を行うことにより門脈本幹の腫瘍栓は縮小し求肝性血流の再開が確認されたが,上腸間膜静脈-下大静脈シャントによるシャント型肝性脳症により治療継続が困難となった.シャント型肝性脳症に対してCoil-assisted retrograde transvenous obliteration IIを施行することにより肝性脳症の改善が得られ,肝細胞癌の集学的治療の再開が可能になった稀な症例であり,若干の文献的考察を加え報告する.