肝臓
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特別寄稿
脳死肝移植希望者(レシピエント)適応基準の変更
上田 佳秀小倉 靖弘上野 義之蔵満 薫阪本 靖介日比 泰造大段 秀樹
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2024 年 65 巻 6 号 p. 277-283

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抄録

脳死肝移植には厳格な適応基準と選択基準が設けられており,「脳死肝移植希望者(レシピエント)適応基準とこれに関連する選択基準」として公表されている.2023年に脳死肝移植ドナーが100例を超え,それに伴って2024年1月より脳死肝移植レシピエント適応基準が変更になった.ひとつは,非代償性肝不全の脳死肝移植の適応評価が従来のChild-Pughスコア10点以上から7点以上に変更となった.これに伴い,肝細胞癌合併例の脳死肝移植の機会が増える可能性が予想される.二つ目は,生体または脳死肝移植後1年未満の早発性グラフト機能不全症例が脳死肝移植の適応となった.他の肝疾患に対する脳死肝移植への影響についての検討が必要である.内科的治療の限界が予想される症例を診療した場合には,本基準を確認して肝移植適応の有無を検討し,一人でも多くの末期肝疾患患者さんが肝移植によって元気になられることを期待する.

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© 2024 一般社団法人 日本肝臓学会
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