日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
大豆蛋白質とアクチンおよびα-アクチニンとの相互作用
六車 三治男林 亮全伊藤 肇躬
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1989 年 36 巻 9 号 p. 754-761

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抄録

大豆蛋白質の肉製品への有効利用に関する技術を改善するため,大豆蛋白質と筋肉蛋白質であるアクチンおよびα-アクチニンとの相互作用について遠心法および粘度測定法により検討した.その結果,大豆蛋白質は25℃中性(7.5)および弱酸性(5.5)のpH条件下でF-アクチンに結合することができた.しかし,中性および弱酸性のpH条件下で,大豆蛋白質とα-アクチニンとの相互作用は認められなかった.F-アクチンにα-アクチニンが結合することは良く知られているが,中性のpH条件下では大豆蛋白質の存在に関わりなくそれらの結合量に変化は認あられなかった.しかし,弱酸性のpH条件下では大豆蛋白質が存在しない場合にF-アクチンに結合するα-アクチニンの量は大豆蛋白質が存在する場合よりもかなり多かった.α-アクチニンはF-アクチンを架橋結合することによりF-アクチン溶液の粘度を増加させるが,大豆蛋白質の添加はα-アクチニンの作用に影響を及ぼさなかった.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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