肥満はMASLD/MASH発症の最も重要な因子であり,本邦では食事の欧米化や運動不足などの環境要因による肥満者が増加している.本研究は,MASLD/MASHと診断されたBMI25 kg/m2以上の患者で,初回時と12カ月後(指導後)に栄養指導,体組成測定,血液生化学検査,肝機能検査を実施した58例を対象とし,継続的な栄養指導が肝機能と体組成に与える影響を検討した.指導後,体重減少群では除脂肪量の減少(P=0.006)もみられたが,BMI(P=0.000),体脂肪率(P=0.000),およびALT(P=0.001),AST(P=0.000),LS(肝硬度)(P=0.006),CAP(肝脂肪量)(P=0.048)の有意な低下を認めた.これらの結果から,MASLD/MASH患者に対する継続的な栄養指導は体脂肪率の低下や肝機能改善に有効であり,MASLD/MASHの治療において重要な役割を果たすことが示唆された.