肝臓
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閉塞性黄疸における耐糖能と肝によるインシュリン調節
小林 衛嶋田 紘米沢 健佐藤 一美鬼頭 文彦土屋 周二
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1980 年 21 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

閉塞性黄疸38例(対照12例)に経口的GTTをおこない,耐糖能とインシュリン反応を調べた.黄疸例には耐糖能低下とインシュリン低反応が認められた.閉塞性黄疸におけるインシュリン動態を調べる目的で,2週間前に総胆管結紮を施行した閉塞性黄疸犬9頭(対照犬7頭)を用いて,ブドウ糖投与時の門脈血と末梢静脈血のインシュリンを測定した.黄疸犬の門脈血インシュリンは糖投与後初期の反応が乏しく,漸次上昇型を示したが,後期には絶対量として対照犬より優位なものもあった.しかし末梢静脈血インシュリン反応はほとんど認められなかったことから,黄疸犬においては,インシュリンの肝extractionが亢進していることが示唆された.すなわち黄疸例においては,門脈血インシュリンが末梢静脈血に現われにくくなるよう肝によって調節されている一方,hepatotrophic facterとして利用されている可能性があると思われた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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