抄録
被写体より10mm離れて10倍の倍率を有する拡大腹腔鏡により,各種肝疾患に於る肝表在リンパ管の観察を行なった.本器の使用により,無処置で全症例の直接観察が可能であった.急性肝炎極期の肝表在リンパ管は急性肝炎回復期と比べて拡張している率が高かった.線維化を伴う脂肪肝の肝表在リンパ管は線維化のない脂肪肝と比較して拡張している率が高く,さらに慢性肝炎から肝硬変へと線維化あるいは小葉改築が進展するにつれて肝表在リンパ管の拡張は強くなる傾向を示した.一方,経皮経肝的に門脈圧を測定した結果も慢性肝炎から肝硬変へ段階的に高くなる傾向を示したことから,門脈循環異常と肝表在リンパ管の拡張は密接な関連があるものと推測された.肝表在リンパ液の動的観察を行なうため,簡便で確実な蛍光色素Fluorescein静注法を行ない肝表面全体の表在リンパ液の流れをほぼ同時に観察した