抄録
われわれは,グルカゴンとインスリンの同時投与が,共役的肝再生促進作用をもっているという見地から,グルカゴン・インスリン療法を急性肝不全の臨床例に対して施行した.その結果,本療法の有効例,生存例を経験したが,なかには無効例や肝不全に基づく死亡例をみとめた.しかるに肝再生を直接的にしかも積極的にかつ確実に促進する治療法を検討し,経門脈的に両ホルモンを投与すれば,一層直接的な治療につながるものと考えた.そこで,経門脈的グルカゴン・インスリン療法の基礎的検討として,d-ガラクトサミン肝障害ラットに両ホルモンを経門脈的に投与し,肝組織,血中のcyclic nucleotideの動態を,正常コントロールと比較検討した.その結果,グルカゴンの経門脈的投与により,肝組織cAMP濃度は急速に高濃度に達し,グルカゴン・インスリンの投与では,ピーク値が多少低下したが,肝障害群では反応がわずかであるが,早まる傾向を有した.