肝臓
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原発性胆汁性肝硬変における骨病変について
加登 康洋服部 信Owen EpsteinSheila Sherlock
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1983 年 24 巻 1 号 p. 31-34

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抄録

原発性胆汁性肝硬変(PBC)では,骨障害を合併することが知られているが,骨の病態を知るには,骨生検以外に方法のないのが現状である.今回著者らは,PBC 83例について,X線学的に第2中手骨の骨皮質(CCT),髄質(M),骨の太さ(T)をバーニアキャリパスを用いて測定し,健康女性と比較検討した.CCT値は,正常対照群では20歳代から50歳代にかけて上昇し,60歳代より減少を示した.一方PBCでは40歳代より減少を示し,対照群に比し低値を示し,その差は有意であった.M値は対照群では20歳代から50歳代にかけて低値を示し,60歳代より上昇を示した.PBCではM値は30歳代から上昇を示し,対照群に比し有意の高値を示した.T値はPBCと対照群とで著変を認めなかった.以上より,PBCにおける骨病変は,閉経期前より骨の皮質の菲薄化がみられ,この原因として,骨の髄質の増加の関与(骨の内膜の吸収障害)が考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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