肝臓
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高年齢男性で組織学的に興味ある所見がみられた原発性胆汁性肝硬変の一症例
奥野 忠雄片岡 慶正出口 武司小笠原 孟史岡上 武瀧野 辰郎
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キーワード: 原発性胆汁性肝硬変
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1983 年 24 巻 1 号 p. 55-61

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抄録

78歳男性で皮膚〓痒感と軽度黄疸を主訴として入院.検査成績では2年8カ月間の経過観察中総ビリルビンは1.3~4.0mg/dlの間を推移し,GOT, GPTも50~90K.U.の間を変動し常にGOT優位であった.Al-Pも50~100K.A.U.と高値を持続し,LAP, γ-GTPも異常高値が持続した.総コレステロールは233~340mg/dlの間を変動した.IgMは経過中2,520mg/dlと著しい高値を示すも,かなりの変動がみられた.抗ミトコンドリア抗体は強陽性で最高2,560倍であった.抗核抗体,抗DNA抗体は陰性であったが,抗平滑筋抗体はときに陰性,ときに陽性を示した.肝の針生検組織では肝小葉構造はよく保たれており比較的大きな門脈域は不規則な形に拡大し一部に形質細胞の密な集簇を認め門脈域辺縁部には著明なatypical ductular proliferationを認めた.又顕著なpiecemeal necrosisもみられた.ローダミン銅染色にて小葉周辺部の肝細胞内の核周囲に多数の銅顆粒がみられた.組織学的にはCAHとのoverlapを示唆する所見であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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