肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝細胞癌の化学療法の効果判定-血管造影所見を中心に-
平井 賢治熊谷 雅信須子 保酒見 泰介長崎 嘉和久保 保彦谷川 久一
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 24 巻 6 号 p. 648-653

詳細
抄録

血管造影を2回以上反復して行ない得た肝細胞癌患者55例で,抗癌剤のone shot療法を72回行ない,治療前後の腫瘍の大きさの変化と血管造影上の所見の変化について検討した.固有肝動脈径は,腫瘍の大きさの変化とほぼ相関した.また,血管造影上hypervascularity, tumor stain, displacement of the artery, A-V shuntなども腫瘍の大きさに伴ない変化する例が多かった.しかし,腫瘍増大例(NC3, PD)でも,10~36%の例において肝動脈径は縮小または不変であり,80~90%の例においてhypervascularity, tumor stainの変化は認められなかった.このような,腫瘍の大きさの変化に相関しない所見は,化学療法により腫瘍内部に何らかの組織学的変化が生じたことが示唆されているものと思われた.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top