肝臓
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CEA産生肝癌の1切除例
牧 淳彦中武 稔石川 威天野 殖松本 由朗
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キーワード: 肝細胞癌, 酵素抗体法
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1985 年 26 巻 11 号 p. 1535-1540

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抄録

72歳の男性,心窩部の腫瘤に対する精査にて肝外側区域の腫蕩を見出した.衛前CEAは261.6ng/ml,AFPは1913ng/mlを示し転移性肝癌も否定できなかったが,術前検査及び術中所見にて億に原発巣を見出し得なかった.術後肝内再発にて死亡する直前にはCEA 7368.4ng/ml,AFP196589.0ng/mlに達した.組織学的検索では,腫瘍は分化度の異なる2つの部分よりなる肝細胞癌で,免疫組織学的には,より未分化な部分にCEA及びAFPが多く存在する事が明らかとなった.CEAはAFPに比し肝細胞癌に対する腫瘍マーカーとしての特異性は低いが,CEAを産生する肝細胞癌も存在し得る事,及び組織の分化度の違いによって腫瘍マーカーの産生される様態に差の有る事が示された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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