肝臓
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HBs抗原陽性各種肝疾患における肝組織中HBV-DNAの存在様式と,その変動及び血中ウイルスマーカーとの関連
金子 周一
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1985 年 26 巻 7 号 p. 846-855

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抄録

37例のHBs抗原陽性各種肝疾患における肝組織中free HBV-DNAの存在様式をSouthern hybridization法を用いて,single-stranded, partially double-stranded HBV-DNAのスメアを認めるType Aと,double-stranded HBV-DNAのバンドのみを認めるType Bに分類し,その変動及び血中ウイルスマーカーとの関連について検討した.肝組織中free HBV-DNAはHBe抗原陽性25例中23例に,HBe抗原陰性,HBe抗体陰性8例中7例に,HBe抗体陽性4例中3例に認め,また,DNAポリメラーゼ活性,血中HBV-DNAよりHBV-DNAの検出に優れていた.また,Type AはHBe抗原陽性のCAHの例に,Type Bは抗ウイルス療法後や,HBe抗原陰性の例に多く認められ,HBV-DNAの存在様式の変動が病態と相関する可能性が示唆された.以上より肝組織中HBV-DNAの検索は,今後B型慢性肝疾患の病態や予後を判定する際の一助と成り得るものと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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