肝臓
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肝内に髄外腫瘤および巨大血腫を伴ったIgA-κ型多発性骨髄腫の1症例
依田 英俊和田 秀一袖山 健宜保 行雄清沢 研道長田 敦夫古田 精市伊藤 信男中野 雅行
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1986 年 27 巻 1 号 p. 93-99

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抄録

肝内に骨髄腫細胞より成る腫瘤性病変を多発性に形成し,かつ,肝被膜下血腫を合併した骨髄腫の1剖検例を報告した.
症例は54歳女性.49歳よりIgA-κ型多発性骨髄腫の診断にて化学療法を周期的にうけていた.今回右季肋部激痛のため入院となった.腹部超音波検査および腹部CT検査にて被膜下血腫を肝右葉に,多数の腫瘤性病変を肝全域に散在性に認めた.剖検所見では被膜下血腫はすでに器質化されており,また,腫瘤性病変は未分化な骨髄腫細胞より成る腫瘤であった.本症例の肝内腫瘤性病変の成因として罹病期間が長期間であったこと,骨髄腫細胞が未分化で強い腫瘤形成傾向を有していたことが考えられた.被膜下血腫に関しては出血傾向の関与が考えられたが直接の成因は不明であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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