肝臓
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劇症肝炎誘起性リンフォカインの精製と同定
駒田 敏之中島 恒子北見 啓之
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1988 年 29 巻 9 号 p. 1171-1180

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抄録

ラット肝細胞ホモジェネートを抗原として家兎を免疫し,感作されたリンパ球を同じ抗原で刺激し,培養後の上清を家兎の腹腔内あるいは門脈内に投与すると,巣状あるいは亜広範性肝壊死が惹起され,肝壊死の程度は使用した培養感作リンパ球の量に比例した.培養上清はin vitroにおいてもラット初代培養肝細胞およびChang肝細胞をdose dependentに障害し,L929細胞に対する障害性はみられず,肝細胞障害性リンフォカインと考えられた.このリンフォカインはSephadex G-100カラムのゲル濾過により分子量は4万から9万の間に存在し,ノイラミニダーゼ処理によって活性の変化はみられなかったが,トリプシン処理,および56℃ 30分加熱処理により失活した.以上の成績からこのリンフォカインはリンフォトキシンとは異なり,肝細胞に特異性のある細胞障害性リンフォカインで,肝壊死を誘導するものと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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