肝臓
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Epidermal growth factorによる急性肝障害の修復とそのメカニズムについての検討
佐貫 和俊
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1988 年 29 巻 9 号 p. 1194-1201

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抄録

CCl4により作成したラット急性肝障害モデルにEGF単独および,これにglucagonとinsulinを併用して投与し,その再生促進効果をBrdUで同定したS期細胞のLabelling index(L.I.)より検討した.また,EGFの肝再生促進効果に関して肝細胞膜のEGF receptorおよび組織中のEGF濃度の測定を行った.肝障害作成直後のL.I. (B値)は8.39%±1.08と増加し,2日後には1.5倍,4日目には1.66倍と増加し以後低下したが,EGF投与群では4日後においてB値の平均2.72倍と有意に増加し,G.I.を加えると2日後ですでに3.63倍,4日後には3.28倍と有意に増加した.EGF receptor数は1日目に正常ラットの41%に,bindingは55.5%まで低下したが,以後速やかに回復した.組織中のEGF濃度は,1日目に32%まで低下し,receptorに遅れて改善傾向を取った.肝障害モデルにおける肝再生にEGFが重要な因子であり,EGF投与が再生促進効果をもつこと,さらにG.I.が相加的に働く可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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