肝臓
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Coxの重回帰型生命表理論(Cox回帰)により検討した肝硬変の予後について
橋本 悦子長原 光奥田 博明久満 董樹小幡 裕大橋 靖雄
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1988 年 29 巻 9 号 p. 1208-1214

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抄録

1973~82年の間にはじめて肝硬変の診断の得られた368例(男282,女86)をプロスペクティブにフォローアップし,診断時点における成因,肝機能検査データなどの各因子のうち,どの因子が最もよく予後を反映するかをCoxの重回帰型生命表理論(Cox回帰)を用いて検討した.そして,競合危険因子モデルの概念により死因別にも検討した.予後調査は1985年6月に行った.5年生存率は63%で,死亡は149例,肝癌死57例(38%),消化管出血死41例(27%),肝不全死31例(20%)であった.死亡全体に対する予後規定因子はGlobulin, Ch-E,性別,hepaplastin testであった.死因別に検討すると肝癌死では,年齢,AFP, HBsAg, ICG,消化管出血死ではICG, GPT,肝不全死ではA/G比,AFPがそれぞれ統計的に有意となった.また,この結果より診断時点のデータより5年までに各死因で死亡する確率を計算しグラフ化した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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