肝臓
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肝薬物代謝能に及ぼすmalotilateの影響-肝ミクロゾームの基質代謝活性および薬物の血中消失半減期に及ぼす影響について-
奥野 裕康
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1988 年 29 巻 9 号 p. 1241-1252

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抄録

肝薬物代謝能に及ぼすmalotilateの影響について検討した.malotilate投与により,ラット肝ミクロゾームのb5量およびNADPH-cytochrome c reductase活性は明らかに増強されたが,P-450量はわずかに減少した.また,malotilateは,7-ethoxycoumarin O-脱エチル化活性を顕著に増強したが,aniline水酸化活性は逆に有意に抑制された.一方,malotilateは,クマリン誘導体(7-methoxy-,7-ethoxy-,7-propoxycoumarin)の代謝活性に対しては,PBとも3-MCとも異なった誘導のパターンを示した.また,malotilateは,ラットにおけるtheophyllineの血中からの消失半減期を明らかに延長したが,disopyramideの半減期は逆に有意に短縮された.以上の成績から,malotilateは,用いた基質や薬物によって異なる影響を示したが,この原因として,肝ミクロゾームの電子伝達系の活性を高めるとともに,P-450のsubtypeのpopulationに影響を及ぼしたためと考える.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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