肝臓
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ラットAcute on chronicモデルにおける肝再生とEGF receptorの検討
白澤 宏幸
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キーワード: 肝再生不全
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1990 年 31 巻 10 号 p. 1152-1158

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抄録

ラットCCl4肝線維症モデル作成後,D-Galactosamine(D-Gal)を投与し,ラットAcute on chronic (AOC)モデルを作成した.このモデルで血液生化学的,組織学的検討ならびにlabelling index(LI),肝ミクロゾーム分画EGF receptor,肝組織中EGF濃度を測定し,ラットD-Gal急性肝障害モデル(コントロール)と比較検討した.AOCではコントロールに比し速やかにGPTが上昇した.組織学的にはAOCでD-Gal投与48時間後に偽胆管形成が増加し,72時間後には残存肝細胞が島嶼状にみられた.LIはD-Gal投与48時間後コントロールに比しAOCで有意に低かった.EGF receptorはD-Gal投与24時間後コントロールに比しAOCで有意に低かった.肝組織中EGF濃度はD-Gal投与48時間後コントロールに比しAOCで有意に低かった.AOCは肝再生遅延ないしは再生不全状態にあり,その一因として肝臓内EGF receptor数の減少によるEGF取り込み障害が関与していることが推察された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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