肝臓
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Pughの分類(Child変法)による肝硬変の予後に関する臨床的検討
柴田 実上野 幸久住野 泰清吉田 直哉定本 貴明山室 渡岡田 正佐藤 源一郎小野塚 靖寺内 一三
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1990 年 31 巻 10 号 p. 1176-1180

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抄録

内科的に治療した肝硬変225例を対象とし,Pugh score, Child-Turcotte分類(CTC),アミノ酸フィッシャー比(MR)の変動を比較し,それらの予後判定における有用性を検討した.CTCは死亡1年前に39%がChild Cを呈するものの,Child Cのまま長期間生存するものもみられた.MRは死亡の3.5年前までは漸減傾向を示すものの,それ以降は低値のまま不変であり,これらによって的確な予後判定を行なうことは困難であった.Pugh scoreは死亡1年前までは長期間に渡り5~6点と低値を持続し,死亡1年前より有意に上昇した.Pugh scoreが9以上に上昇した場合の予後はきわめて悪く,約90%が1年以内に死亡し,肝硬変の予後判定にはPugh scoreが最も有用と考えられた.また本法は簡便性,経済性の面でもCTC同様に優れており,欧米において数あるCTC変法の中で現在最も普及している事実を考えると,我が国においても肝硬変の予後判定に積極的に用いられてよい方法である.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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