肝臓
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原発性肝細胞癌TAEにおけるリピオドールの有用性
Coxの比例ハザードモデルによる検討
上野 敬司中尾 宣夫大西 光典三浦 行矣三浦 貴士
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1990 年 31 巻 10 号 p. 1186-1190

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抄録

1984~1989年の間に肝動脈塞栓術(Transcatheter Arterial Embolization以下TAE)を行った124例の原発性肝細胞癌症例を,ゼルフォームスポンジ(GS)単独TAE群49例とリピオドール(LP)併用TAE群75例との2群に分け,TAEの予後に影響する因子とリピオドールの有用性とをretrospctiveにCoxの重回帰型生命表を用いて統計学的に求めた.その結果,腫瘍形態,門脈因子,LP併用の有無が予後規定因子として重要であることが判明した.Coxの比例ハザードモデルを作成し求めた補正生存率は,GS単独TAE群では1年59.1%, 2年25.1%で,LP併用TAE群では1年80.8%, 2年61.1%, 3年17.5%であり,LPの併用が予後に対して有用である結果が得られた.LP併用の有無によるリスク比は1.624であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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