1993 年 34 巻 7 号 p. 541-547
1988年以降当院において経験した若年者(15~23歳)発症の麻疹症例のうち,入院を要した8例につき,主に肝障害に関して臨床病理学的検討を行った.GOT, GPT, LDHの上昇は全例に認めたが,黄疸を認めた例はなかった.血清GPT値は発疹出現とともに上昇し,6~7日後に最高値をとり,以後経過とともに正常化した.血清LDHは発疹出現時より上昇し,GPTより2~3日早く最高値をとる傾向がみられ,約2週間で正常化した.8例中6例で回復期に肝生検を行った.組織学的には全例に軽度の肝細胞壊死を認めたが,グリソン鞘域の変化はほとんど認めなかった.