肝臓
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小柴胡湯を長期服用中,インターフェロンα-2bを併用投与後に間質性肺炎を呈したC型慢性肝炎の1例
荻原 健英大西 真三浦 英明喜多 宏人中村 郁夫松橋 信行児玉 龍彦井廻 道夫矢崎 義雄岡 輝明町並 陸生
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1994 年 35 巻 4 号 p. 302-308

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抄録

小紫胡湯を10年間服用中,インターフェロン(IFN) α-2b併用投与後に間質性肺炎を呈したC型慢性肝炎の1例を報告した.症例は57歳男性.10年前より肝機能障害のため,近医にて小柴胡湯と強力ネオミノファーゲンCを投与されていた.その投与中,慢性C型肝炎の診断にてIFN α-2b 900万単位を計48回併用投与された.IFN投与終了3ヵ月後頃より歩行時の息切れが出現.胸部X線上両側下肺野に,IFN投与開始前には見られていなかった著明な間質性陰影が認められ当科入院となった.入院後は薬剤中止のみで症状は軽快した.IFN α-2bに対するリンパ球刺激試験の結果は陰性であったが,臨床経過からIFNαによる薬剤誘起性の間質性肺炎が強く疑われた症例であった.最近,小柴胡湯とIFNαの併用による間質性肺炎の副作用が報告されており,過去の文献例も含め臨床上留意すべき点を考察した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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