肝臓
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α-naphthylisothiocyanateによる実験的肝内胆汁うっ滞の発生機序に関する研究
高橋 裕
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1997 年 38 巻 2 号 p. 77-84

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抄録

α-naphthylisothiocyanate (ANIT) の肝内胆汁うっ滞発現機序をSprague-Dawleyラット (SDR), ならびにその突然変異種であるEisai hyperbilirubinuria rat (EHBR) を用いin vivoで検討した. SDRにANITを経口投与すると肝内胆汁うっ滞を生じるが, 投与後早期に肝総グルタチオン (GSH) 濃度は一過性に減少した. フェノバルビタール前処置にて肝総GSH濃度を増加させたSDRでは, ANITによる胆汁うっ滞がより強くみられた. GSH抱合体の胆汁排泄障害が知られているEHBRにANITを投与しても, 胆汁うっ滞は生じなかった. GSH抱合体として胆汁中に排泄されるbromosulfophthalein (BSP) とANITとを同時に持続静注すると, BSPの胆汁排泄低下がみられた. これらの現象から, ANITはGSH抱合体として胆汁中に排泄され, 胆汁うっ滞を引き起こすことが示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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