肝臓
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経口抗癌剤 (5-FU) 長期投与中に肝内胆管に硬化性胆管炎様の組織学的変化をきたした肝硬変非合併肝細胞癌の1例
高良 哲郎竹内 和男高森 頼雪吉崎 秀夫渡辺 五朗山崎 滋孝
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1998 年 39 巻 9 号 p. 649-653

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抄録
症例は61歳男性. 1989年1月に肝細胞癌 (NBNC) を初回切除後, 1990年7月, 1994年5月, 1997年2月に再発を認め, 計4回肝切除を施行した. 再発予防目的で, 1990年1月から11月までカルモフール (300mg/日, 総投与量約78g) を継続して, 1991年2月から1997年2月まではテガフール/ウラシル合剤 (200~300mg/日, 総投与量約510g) を断続的に投与した. 非癌部肝組織は第1回目切除肝では著変がなかった. 抗癌剤投与約半年後の第2回目切除肝の非癌部肝組織では原発性硬化性胆管炎に類似した小葉間胆管周囲の線維化と門脈域の軽度の線維性拡大を認めた. その変化は, 第3回目切除肝では進行していたが, 経口抗癌剤の1日投与量を減じた後の第4回目切除肝ではやや軽減していた. 従って経口抗癌剤 (5-FU) による続発性硬化性胆管炎は比較的早期からsubclinicalに生じ, 薬剤の減量により, ある程度可逆的な変化であることが示唆された.
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© 社団法人 日本肝臓学会
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