関西病虫害研究会報
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原著論文
ピーマンで発生する3種アブラムシ類に対する殺虫剤の有効性
柿元 一樹井上 栄明
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2019 年 61 巻 p. 105-111

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抄録

鹿児島県のピーマンで発生する主なアブラムシ類であるジャガイモヒゲナガアブラムシ,モモアカアブラムシおよびワタアブラムシに対する殺虫剤の効果,処理方法の相違(散布または土壌処理)および殺虫効果の持続性を明らかにした。ネオニコチノイド剤のアセタミプリド,イミダクロプリド,クロチアニジン,ジノテフラン,チアメトキサム,ニテンピラムの水溶剤または粒剤を6剤,有機リン剤のアセフェート粒剤,ジアミド剤のシアントラニリプロール粒剤,その他のスピロテトラマト水和剤,ピメトロジン水和剤,ピリフルキナゾン水和剤,フロニミカド顆粒水和剤について,茎葉散布または土壌処理(散粒または灌注)により殺虫効果を比較した。薬剤を温室栽培のピーマン(平均気温:24.5°C)に処理し,原則として,処理から6時間,3日,7日,14日,21日,28日,35日後に殺虫剤処理した葉を実験室(25°C,自然日長)で与えアブラムシ類の死亡率(96時間後)を比較した。その結果,殺虫効果はアブラムシ類の種間で有意な差は認められなかった(GLM,P>0.05)。総じて,いずれの殺虫剤においてもアブラムシ類の死亡率の最大値は 80%~100%で,殺虫効果は高かったが,散布剤よりも土壌処理剤において有意に効果が高く(GLM,P<0.0001),効果の持続性も長かった。ネオニコチノイド剤6種類の粒剤では,処理3日後から28日後まで 70%以上のアブラムシ類の死亡率が認められ,アセフェート粒剤では処理3日後から35日後まで同様の死亡率が認められた。

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