関西病虫害研究会報
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61 巻
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原著論文
  • 太田 泉, 浦入 千宗, 安部 順一朗, 水谷 信夫, 柿元 一樹, 大野 和朗
    2019 年61 巻 p. 1-8
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    春どりのスナップエンドウで発生するナモグリバエ類と寄生蜂の発生消長と種構成を調べた。ハモグリバエ類のマインが付いているスナップエンドウの葉を定期的に採集し,室内で羽化させて種を明らかにした。三重県津市では,調査を行った1月から4月のすべての期間において,ナモグリバエChromatomyia horticolaと寄生蜂による寄生が確認された。寄生蜂については,Halticoptera circulusDiglyphus isaeaDacnusa nipponicaDiglyphus minoeusなどが多く採集された。広島県福山市で行った同調査では,Da. nipponicaが多く採集され,熊本県合志市では,H. circulusDa. nipponicaOpius spp.,Di. isaeaが多かった。以上の結果から,三重県津市と熊本県合志市では,H. circulusがナモグリバエ寄生蜂の優占種であったのに対して,広島県福山市ではDa. nipponicaが優占種であり,地域間での違いが明らかになった。

  • Xiaodong You, Joffroy Barraud, Motoaki Tojo
    2019 年61 巻 p. 9-13
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    A strain of Pythium oligandrum isolated from soybean, grown in a commercial field in Osaka, Japan, was characterized by species identification and suppression of soybean damping off caused by P. aphanidermatum and P. myriotylum. The morphology and hyphal growth temperature of the P. oligandrum strain corresponded with those of the original description of P. oligandrum. rDNA-ITS sequences of the P. oligandrum strain were highly matched to those of the type strain of the species. The P. oligandrum strain was mycoparasitic toward P. aphanidermatum and P. myriotylum, and significantly suppressed soybean damping off caused by them. This is the first report of the effectiveness of P. oligandrum on soybean damping off pathogens.

  • 川上 拓, 鈴木 啓史, 中嶋 香織, 礒﨑 真英, 黒田 克利
    2019 年61 巻 p. 15-22
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    耐性菌の発生動向を把握し,それに応じた効果的な防除を行うことを目的に,県内トマト栽培圃場において,2015年作~2017年作にかけて灰色かび病菌を採取した。得られた菌株の主要殺菌剤に対する感受性を培地検定法および生物検定法により評価し,耐性菌の発生動向を調査した。また,当該殺菌剤の散布と耐性菌発生との関係性について解析した。

    調査圃場のうち,ほぼ全ての圃場で耐性菌発生リスクの高いQoI剤,SDHI剤耐性菌を確認した。これら耐性菌については,当該殺菌剤の散布がある場合,散布がない場合と比較し発生が多い傾向にあった。一方,耐性リスク中程度の殺菌剤であるメパニピリム剤,リスク低~中程度の殺菌剤である,フルジオキソニル剤については,散布回数が多かったにもかかわらず,調査期間を通じて耐性菌が確認されなかった。これら主要殺菌耐性菌の発生動向は,FRACの定義する耐性菌発生リスクと概ね一致する結果であった。

    また,本調査において,耐性菌の発生が全体的に少なかった圃場では,TPN剤のような保護殺菌剤の使用およびローテーション散布が徹底されており,これら保護殺菌剤を含めた効果的な防除が重要であることが示唆された。

    以上より,感受性モニタリングは,FRACの耐性菌発生リスクに基づき,耐性菌対策の実践効果の検証のために,必要な殺菌剤や圃場に限って実施することが現実的であると考えられた。

  • 細見 彰洋
    2019 年61 巻 p. 23-29
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    クワゴマダラヒトリの加害を受けた露地栽培‘デラウェア’の新梢47本を調査した結果,食害部位としては葉が 89.4%ともっとも多く,次いで花房が 42.6%,生長点が 38.3%で,このうち 27.7%は葉,花房,生長点の複合害であった。

    これら異なる部位の食害を受けた新梢と,それを模した人為的な損傷を施した新梢について,その後の展葉数の増加や伸長,果実の着生やその品質を分析した。

    その結果,葉の損傷の場合,全葉が失われると着粒が阻害されて果房重が減じた。しかし,実際に本種の加害を受けた新梢の大半は部分的な葉の損傷に留まり,少なくとも全葉の半分以下の食害であれば,新梢生育,着果,果実品質に影響がなく,通常の生産が可能であった。

    一方,花房の損傷は果房の一部または全体の欠失に直結した。また,生長点の損傷では,当年の果実生産には影響が少なかったが,新梢自体の生育は著しく抑制され,越冬できず枯死する場合が多かった。従って,食害によって花房や生長点の損傷を受けた新梢は早期の芽欠きが妥当であった。

  • 鈴木 良地, 堀川 英則, 恒川 健太, 久保田 健嗣
    2019 年61 巻 p. 31-35
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    シソモザイク病の病原ウイルスであるPMoVをRT-LAMP法により検出する技術を開発した。PMoVは日本国内に広く分布しており,塩基配列に基づいて主に2つのクレードを構成することが知られているが,各クレードに対応する2種類のFIPおよびBIPプライマーを混合することによって,供試した全てのPMoVを検出できた。また,注射針で罹病葉を突いて得た簡易な鋳型でも,92.3%の精度でPMoVを検出できた。さらに,電源が確保できない場所でも,自動車のバッテリーを利用してRT-LAMP反応を行うことでオンサイトでPMoVを検出できた。

  • 德丸 晋, 桑原 大樹, 久下 一彦
    2019 年61 巻 p. 37-40
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    ピリフルキナゾン水和剤のネギアザミウマおよびネギえそ条斑病に対する防除効果について露地ネギ栽培ほ場において調べた。その結果,ピリフルキナゾン水和剤を3週連続で散布した区では,ネギアザミウマの成虫および幼虫の発生は無処理と比較して有意に少なく,被害度を無処理区の約2分の1に抑えた。ネギえそ条斑病の発病葉率は 0.7~2.4%の範囲で抑えられ,20株あたりの発病葉数は,無処理区の約5分の1から約3分の1に抑えられ,ともに有意な差が認められた。さらに,20株あたりのえそ条斑数は,無処理区の約3分の1に抑えられ,有意な差が認められた。

  • 礒見 祐輔, 野中 大輝, 山内 稜平, 樋口 博也
    2019 年61 巻 p. 41-43
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    2018年4月23日に,滋賀県大津市で採集したホソハリカメムシ雌24頭,雄32頭を 25°C,16L-8D条件下で個体飼育した。この捕獲した成虫は,越冬を終了した直後であり,雌は既交尾であった。平均生存日数は,雌は64.7日,雄は133.3日で,雄の生存日数のほうが長かった。供試した雌24頭のうち,21頭が産卵を行い,平均総産卵数は63.6卵であった。雌は交尾行動が制限された飼育条件でも,受精卵を産下できることが明らかとなった。

  • 松浦 克成, 岩本 豊, 相野 公孝
    2019 年61 巻 p. 45-48
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    植物体から簡易に青枯病菌(Ralstonia solanacearum)を検出することが可能であるイムノクロマト法(Agdia社製Rs ImmunoStrip® Test青枯病検出用)とトマト幼苗を用いて,土壌からの青枯病菌の検出および菌密度を推定する方法を検討した。青枯病菌を捕捉するには,27°Cに設定した恒温水槽で培養することによって,同菌の検出が可能であった。人工汚染土壌を用いた検定では,培養2日後には 2.7×102~103 CFU/g乾土以上の菌密度で検出することができた。また,培養3~7日後には 2.7×100 CFU/g乾土まで検出が可能であった。栽培圃場の土壌を用いた検定でも,この手法により検出することが可能で,捕捉した青枯病菌の病原性を確認したところ,病原性を有していた。これらのことから栽培圃場においても,作付け前にあらかじめ土壌の青枯病菌の汚染程度を推定することが可能であり,発病予測に活用できると示唆された。

  • 井村 岳男
    2019 年61 巻 p. 49-53
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    露地ナスに発生するミナミキイロアザミウマの土着天敵であるヒメハナカメムシ類に対する9種殺虫剤の圃場影響を調査した。ニジュウヤホシテントウの防除薬剤では,メタフルミゾンは影響が小さかったが,インドキサカルブは処理1週間後以降に軽微な影響があった。ナミハダニ黄緑型の防除薬剤では,ピフルブミド,ミルベメクチン,スピロテトラマトのいずれも影響が無かった。アオクサカメムシの防除薬剤であるアセタミプリドとジノテフラン,並びにミナミキイロアザミウマの防除薬剤であるエマメクチン安息香酸塩とフロメトキンは,処理直後にヒメハナカメムシ類が急減したが,2週間後には無処理の 1/3~1/2 程度まで密度が回復した。これらの結果から,露地ナスで使用するニジュウヤホシテントウの選択性殺虫剤としてメタフルミゾンが,ナミハダニ黄緑型の選択性殺虫剤としてピフルブミド,ミルベメクチン及びスピロテトラマトが適していると考えられた。また,アオクサカメムシの防除にアセタミプリドまたはジノテフランを使用するとヒメハナカメムシ類が減少するので,エマメクチン安息香酸塩またはフロメトキンを同時に散布することで,ヒメハナカメムシ類の密度が回復するまでの2週間程度の間,ミナミキイロアザミウマを抑制するのが良いと考えられた。

  • 窪田 昌春, 飯田 祐一郎
    2019 年61 巻 p. 55-60
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    トマト葉かび病菌では,国内においても様々なレースが発生しているが,本菌のレース判別には入手困難な海外産品種が用いられているため,葉かび病抵抗性遺伝子Cf-245 または 9 を持つ国内産品種の自殖を繰り返すことにより,国内で配布可能なレース判別系統を作出した。これらの系統は,レース既知の98菌株のトマト葉かび病菌の接種において期待される罹病性・抵抗性を示した。

  • 堀川 英則, 伊藤 涼太郎, 小出 哲哉, 大橋 博子, 武山 桂子, 加藤 賢治, 安藤(小島) 寛子
    2019 年61 巻 p. 61-68
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    愛知県長久手市内のイチゴほ場で採取したナミハダニ黄緑型の雌成虫に対し,明期開始2時間後処理区,明期開始後10時間後処理区,および全暗条件での暗期処理区として,異なる時刻での処理による各殺ダニ剤の感受性の比較を行った。

    その結果,エマメクチン安息香酸乳剤,ミルベメクチン乳剤,還元澱粉糖化物液剤,アセキノシルフロアブルでの死虫率が明期開始後2時間処理区で他の2処理区に比べて低い傾向が見られた。一方,シエノピラフェンフロアブル,シフルメトフェンフロアブルでは死虫率が明期開始後2時間処理区で他の2処理区に比べて高い傾向にあった。ビフェナゼートフロアブル,硫黄については,各処理区間で差は無かった。なお,全ての処理薬剤において明期開始後10時間処理区と暗期処理区との間で死虫率の差は明瞭ではなかった。

    また,愛知県蒲郡市内のイチゴほ場で採取したナミハダニ黄緑型の卵に対し,気門封鎖型農薬を中心に処理したところ,高度精製マシン油乳剤,マシン油乳剤が大きく孵化を阻害した。次いで,なたね油乳剤,脂肪酸グリセリド乳剤,調合油乳剤に孵化阻害効果が認められたが,プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル乳剤,ヒドロキシプロピルデンプン液剤では,孵化阻害効果はほとんど認められず,化学合成農薬であるエトキサゾールフロアブルは感受性の低下が疑われた。

  • Shunsuke Asano, Yoshihiko Hirayama, Isao Takenaka, Terufumi Naka
    2019 年61 巻 p. 69-74
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    Spotted wilt disease caused by Tomato spotted wilt virus (TSWV) is one of the most important diseases affecting the production of bulbs and cut flowers of Dahlia variabilis in Japan. In Nara Prefecture, the main vector species of TSWV were thrips Frankliniella intonsa and Frankliniella occidentalis. The number of F. intonsa and F. occidentalis captured using blue sticky traps increased in late June and mid-May, and peaked in early July and late May to early June, respectively. TSWV viruliferous F. intonsa and F. occidentalis occurred throughout almost the entire production period in bulb production fields. TSWV might be transmitted by thrips, and the infection rates in dahlias reached up to 80% in a cut flower field. However, the use of insect proof nets greatly decreased the infection rates. In addition, the removal of dahlias with TSWV symptoms effectively decreased the rates of diseased plants. To prevent the spread of TSWV, it is important to prevent invasion of thrips using physical barriers. In addition, removal of the source of infection is an effective way to reduce the occurrence of disease.

  • Shunsuke Asano, Yoshihiko Hirayama
    2019 年61 巻 p. 75-78
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    We inoculated persimmon with Colletotrichum horii, causing anthracnose on the young twigs from the third week in April to the second week in June. The anthracnose lesions occurred in late April, and did not occur on lignified twigs. In addition, we inoculated the fruits with high and low levels of inoculation using twigs with lesions. In the high inoculation group, the occurrence of diseased fruits was as high as 41.6%. The results indicated that the application of fungicides should start after late April, and also that twigs with lesions should be removed and controlled using the application of fungicides.

  • Kandai Yoshida, Shunsuke Asano, Yuka Sumikawa
    2019 年61 巻 p. 79-84
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    In 2017, chrysanthemum downy mildew, which has not been reported in Japan since 1980, severely affected chrysanthemum production in Nara Prefecture, Japan. We investigated the occurrence of the disease at the fields in Nara Prefecture and the control efficacy of thermotherapy and fungicides against it. In the field survey, over 95 % of plants were diseased in seven cultivars, while no plants with the symptoms were observed in the other six cultivars. This suggests that some chrysanthemum cultivars had resistance to downy mildew. Chrysanthemum cuttings were treated with thermotherapy (treatment with hot water and hot air). The disease prevalence in both treatments was significantly lower than that in the non-treated. Severely diseased plants were sprayed with three fungicides (azoxystrobin, manzeb, and tolfenpyrad). While azoxystrobin and manzeb reduced the disease severity compared with non-treated, its efficacy was not so high. We concluded that the use of resistant cultivars and the application of thermotherapy can effectively control chrysanthemum downy mildew.

  • ―施設栽培キク上での検証―
    山口 晃一, 森 光太郎
    2019 年61 巻 p. 85-89
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    施設栽培キクでのミヤコカブリダニ(以下ミヤコ)のハダニ抑制能力を検証した。キクにナミハダニを定着させた後,3種類のミヤコ放飼比率(ミヤコ数/ナミハダニ数,①20:1区,②10:1区,③5:1区)で放飼し,その後の推移を追跡した。その結果,いずれの放飼比率でもハダニ密度は抑制されたが,放飼比率によらず,ハダニを抑えるまで約1か月必要だった。株上で確認されたミヤコ/ハダニ比(ミヤコ比)と同じ株の翌週のハダニ数の関係を調べたところ,ミヤコ比が0.1以上でハダニを抑える傾向が見られた。

  • 恒川 健太, 堀川 英則, 市川 耕治, 武山 桂子, 鈴木 良地, 大橋 博子, 伊藤 涼太郎, 田中 はるか, 坂 紀邦
    2019 年61 巻 p. 91-98
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    愛知県のシソ生産者に対するアンケート調査を行い,生産者の約9割がシソモザイク病を経験し,ほ場内の1割以上でモザイク病が発生したことがある生産者も約3割存在する等,シソモザイク病の発生実態を明らかにした。さらにアンケート結果の統計解析により,近隣に露地シソ類があると,有意に発病リスクが高まることを明らかにした。

    現地栽培ほ場において,2016年夏作に感染源となる露地シソ類の除去といった耕種的防除を中心とした防除対策を実施したところ,対策を実施しなかった2015年夏作と比較し,発病株率が減少した。その他,側窓付近で発生が多いことや7~11月に発病が多いことを明らかにした。2017年夏作では,感染源の除去に加え,7~11月にかけて重点的に防除を実施したところ,2016年夏作と比較しても,より一層発病株率が減少した。

    これらのことから,感染源除去と適期の薬剤散布を組み合わせた防除体系が,シソモザイク病の発生抑制に有効であると考えられた。

  • 土田 祐大, 増井 伸一
    2019 年61 巻 p. 99-104
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    静岡県内のカンキツ園およびその周辺から採集したコウズケカブリダニおよびニセラーゴカブリダニに対する各種薬剤の影響を評価した。その結果,2種広食性カブリダニの雌成虫および産卵に対する影響が少ない薬剤として,エチプロール,ピリフルキナゾン,エトキサゾール,クロルフェナピル,フルフェノクスロン,ルフェヌロン,ブプロフェジン,フロメトキン,スピロジクロフェン,スピロメシフェン,シエノピラフェン,シフルメトフェン,ピフルブミド,シアントラニリプロール,フルベンジアミド,フロニカミド,イミベンコナゾール,ボスカリド,メパニピリム,クレソキシムメチル,ピリベンカルブ,シアゾファミド,水酸化第二銅,ジチアノンが選抜された。本研究と既往の研究との比較により我が国に生息する広食性カブリダニは,種間だけでなく個体群間でも薬剤の影響が異なる可能性が示唆された。このことから,広食性カブリダニを活用したIPMを確立するためには,対象園地やその周辺に生息する個体群に対する薬剤の影響を評価する必要がある。

  • 柿元 一樹, 井上 栄明
    2019 年61 巻 p. 105-111
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    鹿児島県のピーマンで発生する主なアブラムシ類であるジャガイモヒゲナガアブラムシ,モモアカアブラムシおよびワタアブラムシに対する殺虫剤の効果,処理方法の相違(散布または土壌処理)および殺虫効果の持続性を明らかにした。ネオニコチノイド剤のアセタミプリド,イミダクロプリド,クロチアニジン,ジノテフラン,チアメトキサム,ニテンピラムの水溶剤または粒剤を6剤,有機リン剤のアセフェート粒剤,ジアミド剤のシアントラニリプロール粒剤,その他のスピロテトラマト水和剤,ピメトロジン水和剤,ピリフルキナゾン水和剤,フロニミカド顆粒水和剤について,茎葉散布または土壌処理(散粒または灌注)により殺虫効果を比較した。薬剤を温室栽培のピーマン(平均気温:24.5°C)に処理し,原則として,処理から6時間,3日,7日,14日,21日,28日,35日後に殺虫剤処理した葉を実験室(25°C,自然日長)で与えアブラムシ類の死亡率(96時間後)を比較した。その結果,殺虫効果はアブラムシ類の種間で有意な差は認められなかった(GLM,P>0.05)。総じて,いずれの殺虫剤においてもアブラムシ類の死亡率の最大値は 80%~100%で,殺虫効果は高かったが,散布剤よりも土壌処理剤において有意に効果が高く(GLM,P<0.0001),効果の持続性も長かった。ネオニコチノイド剤6種類の粒剤では,処理3日後から28日後まで 70%以上のアブラムシ類の死亡率が認められ,アセフェート粒剤では処理3日後から35日後まで同様の死亡率が認められた。

  • 中野 亮平, 土井 誠, 石川 隆輔
    2019 年61 巻 p. 113-119
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    施設トマトのタバココナジラミに対するタバコカスミカメ,天敵温存植物バーベナ‘タピアン’および選択性薬剤を組み合わせたIPM体系の有効性を,3月定植~7月栽培終了の作型において評価した。3区画に区切られた試験用ガラス温室内の養液栽培ベッドに大玉トマトを定植し,ⅰ)IPM体系区(タバコカスミカメ放飼+バーベナ設置+選択性薬剤),ⅱ)殺虫剤散布区(殺虫剤の定期散布),ⅲ)対照区(無防除の区として設置したが6月中旬にタバココナジラミが多発したため薬剤を1回散布)を設定して防除効果,薬剤散布回数の削減効果,タバコカスミカメによるトマトへの被害の有無などを調査した。その結果,トマト上のタバココナジラミは,IPM体系区と殺虫剤散布区で5月下旬~6月中旬の成虫密度および6月以降の幼虫密度が対照区と比べて有意に低くなった。IPM体系区と殺虫剤散布区のタバココナジラミ密度は期間の大部分で有意な差は認められなかった。IPM体系区では,トマトおよびバーベナ上でタバコカスミカメの定着と増殖が確認され,バーベナ上では成虫密度が常に低かったことから,羽化成虫がトマトへ移動した可能性が示唆された。TYLCV感染率は処理区間で有意な差は認められなかった。トマトの各果房段位の着果数は処理区間で有意な差は認められず,タバコカスミカメによる影響は確認されなかった。薬剤散布回数はIPM体系区が1回,殺虫剤散布区が5回だった。以上のことから,タバコカスミカメの利用を核とした本IPM体系は,化学合成殺虫剤中心の薬剤防除体系に対する有効な代替防除手段であると考えられた。

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