2023 年 65 巻 p. 1-5
トマト黄化葉巻ウイルス(tomato yellow leaf curl virus,TYLCV)によるトマト黄化葉巻病はトマト産地において深刻な被害を与えている。一般的に,TYLCVはタバココナジラミによってのみ媒介され,汁液伝染はしないとされている。機械的な接種は,トマトの抵抗性品種のスクリーニングなど,実用的な用途が大きいと考えられたため,我々は,歯ブラシを用いたTYLCVの感受性トマトへの接種方法を開発した。本研究では,京都府で分離されたTYLCV-Kumiyama株の物理的性質および宿主範囲について検討した。ウイルスの物理化学的諸性質は,失活温度(TIP)75–78°C,10分,希釈限界(DEP)10–6および耐保存性(LIV)25°C,6日間であった。供試した7科17種の植物のうち機械的接種法によって本ウイルス株に感染したのは4科に属する9種であった。症状は主に黄化および葉脈黄化であった。