日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-10
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口頭発表
サラダチキンの物性と嗜好性
*島田 玲子髙村 夢衣上野 茂昭
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キーワード: サラダチキン, 嗜好性, 物性
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抄録

【目的】サラダチキンとは,薄い味付けでやわらかい食感を持つ鶏むね肉の加工品である。本研究では,サラダチキンのイメージや喫食状況をアンケート調査により明らかにし,また,家庭での調理を想定して家庭に常備され,肉の軟化効果が期待できる調味料を添加したサラダチキンを調製して物性と官能特性を比較した。

【方法】大学生を対象として,2019年6月〜10月にかけてWebアンケート(Googleフォーム)により属性(4問),サラダチキンの認知度とイメージ(10問),サラダチキンのおいしさの評価と喫食状況(15問),家庭でのサラダチキンの調理(8問)の計37問を尋ねた。実験では,鶏むね肉に対して砂糖2%,水2%,塩0.7%を添加した標準試料と,醤油,酒または酢添加の計4種の試料を調製した。調味料は塩分濃度,水分量が同じになるよう添加し,加熱には炊飯器を用いた。クリープメータによる破断強度解析および官能評価により,物性と嗜好性を評価した。

【結果】アンケート調査から,サラダチキンは広く認知されており,「高タンパク」「低カロリー」などの健康を意識して食べられている食品であることが分かった。家庭で手作りしたことがある人は22%にとどまった。加熱前後の重量変化を示すドリップ率が低く,保水力が最も高いものは醤油試料であった。破断エネルギーが最も小さく,実験者らによる官能評価でも最もやわらかいと評価されたものは標準試料で,調味料添加による軟化は認められなかったが,調味料を加えることにより鶏肉の臭みが弱まった。消費者パネルによる官能評価により,シンプルな材料で低価格であるという手作りサラダチキンの良さが,市販品以上に受け入れられるということが分かった。

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