関西病虫害研究会報
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植物病学の立場からみた都市塵芥の衛生学的処理に関する実験
安部 卓爾桂 〓一河野 又四
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1959 年 2 巻 p. 17-22

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抄録
1) いわゆる市場病害による被害物は, 大部分が塵芥処理場へ運ばれ堆積されるが, これは堆肥として再び農村へかえるものが多い.本論文はその塵芥堆積中における病原菌類の運命を調査したものである.
2) 京都, 大阪, 神戸の3中央市場で廃棄処分される蔬菜の量を調査したが, 入荷量に対する腐敗量の最高は甘藷で大阪の13.23%, 馬鈴薯で大阪35.78%, 白菜で神戸の2.43%, 甘藍で神戸の2.43%となつていて, 腐敗量は軽視出来ないものがある.
3) 京都市の塵芥中における蔬菜の量は1955年度に11%, 1956年度に9%で, 不燃焼細塵及び土砂類に次ぐ.
4) 塵芥堆積中の醗酵熱は, 春夏秋において2~4日で60℃を越すが, 冬季は外気の影響で7~8日後に60℃を越えた. しかし堆積表層部邪は, 外気の影響をうけて充分な醗酵熱を生じない.
5) 18種の病原菌を供試して, 塵芥堆積中における培養菌の生死について実験をおこなつた結果, 冬季を除く他の季節では深さ4~6cmではすべて菌が死滅したが, 3cmぐらいまでの深さにおいては死滅しないものがある.
6) 莚或はビニールで塵芥の上を被覆すると, 表層部でもほぼ4日ぐらいを経れば菌は死滅する.
7) 冬季では表層部0~3cmでは菌は死滅せず, 一部のものはかえつて胞子や菌核の形成が良好であつた. 又莚被覆のものは4~9日後, 全部死滅した.
8) 塵芥の堆肥利用は, 植物病理学の立場からすれば危険であるが, 堆積表層部の切返えし反転による全体の充分な醗酵を期するか, 莚やビニール等で被覆し表層部の醗酵熱を充分にすることによつて, 病原菌の死滅をはかることが出来る.
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