関西病虫害研究会報
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2 巻
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  • 宗林 正人
    1959 年 2 巻 p. 1-7
    発行日: 1959/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    大阪府下に於てモモアカアブラムシの二三の生態的観察を行つた. その結果の大要を示せば次の如くであつた.
    1. 無翅形は有翅形よりも産子数多く, 産子期間も長い.
    2. 有翅形も無翅形もその産子数は, 4月頃と10月下旬から11月には多く, タバコ, ゴマを食草としたものを除けば6~7月には減退した.
    3. 有翅形の大根への飛来消長は, 春 (4月上旬~6月中旬) と秋 (9月上旬~12月上旬) に最も多い. 更に春と秋にも各々2回の山がみられた. 大根の品種間に於ける飛来数の差異は著明ではないが, 聖護院, 美濃早生,宮重大根に多く, 時無大根には少い傾向がみられた. また成熟葉よりも生育初期の軟い葉に好んで飛来する.
    4. 有翅形の飛散は気象の影響をうけること多く, 豪雨を伴つた台風のあと, 降雨時, 降雨後には減少した.
    5. 有翅形は1日のうち早朝と16~18時に最も多数飛散し, 10~13時には極めて少く, 夜間は普通飛散しないが, 稀に電燈光に集るものもあつた.
    6. 春期に於ける有翅形飛来源植物はナタネ, カンランが最も主要なものであるが. 年によつてはモモにも多数の有翅形が現れた.
    7. 秋期に於ける有翅形飛来源植物としてゴマは最も主要で, 8月初めから有翅形が現れ, 8月中下旬がその最盛期であつた. 年により, またゴマの生育状態によつては, 有翅形は9月上旬にも相当多数現れた. ゴマは夏の寄主植物として最も好適なものである.
    8. 産雌虫は10月中頃から12月上旬まで現れるが, 11月上旬はその最盛期であり, 雄虫は11月初めから1月上旬まで現れ, 11月中旬が最盛期であつた.
  • 西野 操, 福田 秀夫
    1959 年 2 巻 p. 8-11
    発行日: 1959/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    (1) 水稲の田植前に, BHC粉剤とデイブテレツクス粒状を施用してニカメイチユウに対する防除効力の比較, BHC原末の効力, BHCの稲体内への移行の問題等について, 圃場試験, ポツト試験, 生物検定法等について検討した.
    (2) BHCγ3%粉剤のアール当り, 0.6kg, 1.2kg, 2.4kg, デイプテレツクス1.5%粒状2.4kg区は, 1化期中期の被害茎率は無処理区に対して有意差をもつて効力が認められたが1化期末の被害茎率ではBHCの1.2kg, 2.4kg区のみが無処理区に対して有意差が認められた. これらの結果から土壌施用によるニカメイチユウ防除はデイプテレツクスより, BHCの方が優れていることが解つた.
    (3) 前記試験によつてBHC粉剤の効力が認められたので薬剤費軽減のためBHC原末の利用がよいと考えられたので, 晩植稲を便用して試験した結果, BHC原末はBHC3%粉剤と同等の効力が認められた. しかしリンデン (99.6%) 原末はBHCより若干効力が劣つた.
    (4) BHCとデイプテレツクスを土壌中に施用した場合, 両薬剤が稲体内に入り移行してゆく状態を稲移植後17日目まで追求した. 水稲を根, 葉鞘, 葉身の3部分にわけて, 各部分から有効成分量を生物検定により定量した結果根から検出されたγBHCの量は移植後5日以内に最高値 (1.2kg/a相当の場合で約20p.p.m.) を示しその後は減少する. 葉鞘では11日目頃まで増加し (同前の場合で約8P,P.m.) 以後減少する. 葉身部からは検出されなかつた. BHCは水稲の組織内を移行したものと考えられる. デイプテレツクスは方法の不備から36P.P.m. 以下であることしか算出されなかつた.
  • ヒメトビウンカの実態並びにその棲息密度と稲縞葉枯病との関係
    深沢 永光, 新村 逸郎, 高橋 浅夫
    1959 年 2 巻 p. 12-16
    発行日: 1959/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    (1) この調査はヒメトビウンカの野外における実態を調査し,稲縞菜枯病との関係を追求して防除及び発生予察のための基礎資料を得ようとしたもので,環境の異なる4地域を選定し,畦畔,休閑田,麦畑,山の脚,本田,苗代を2月中旬から7月上旬まで7回その棲息数の調査を行なつた.
    (2) ヒメトビウンカの2月中旬から7月上旬までの発生経過は気象条件や稲の栽培形態の異なる地域においてもほぼ同様であり,次のように指定された.
    越冬場所は主として畦畔の湿気の多い所であり,3月上旬より第1世代成虫となり,その多くは越冬場所から麦及び早取用苗代に移動する.麦で生育した第1世代幼虫は5月下旬から順次第2世代成虫となつて6月上旬~6月中旬に普通栽培用苗代,早取,早植の本田に飛来するそして早植田では6月下旬~7月上旬の分けつ期~最高分けつ期に第2世代幼虫の密度が多くなり,普通栽培では7月上旬の活着期に第2世代幼虫が多くなる.
    (3) 3月中旬~5月中旬における各調査点の幼虫数のフレは調査点が10点の場合畦畔及び麦ではC.V=70~200%,休閑田ではC.V=80~300%であり,精度を高めるためにはさらに多くの調査点数が必要である.
    (4) 本田期のヒメトビウンカの虫数と稲縞葉枯病との関係は早取栽培では6月上旬の第2世代成虫数とまた早植及び普通栽培では6月下旬~7月上旬の第2世代幼虫数と稲稿葉枯病の発病量との関係が深く,これらの時期の虫数が予察的にもまた防除上からも重要である.
  • 安部 卓爾, 桂 〓一, 河野 又四
    1959 年 2 巻 p. 17-22
    発行日: 1959/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    1) いわゆる市場病害による被害物は, 大部分が塵芥処理場へ運ばれ堆積されるが, これは堆肥として再び農村へかえるものが多い.本論文はその塵芥堆積中における病原菌類の運命を調査したものである.
    2) 京都, 大阪, 神戸の3中央市場で廃棄処分される蔬菜の量を調査したが, 入荷量に対する腐敗量の最高は甘藷で大阪の13.23%, 馬鈴薯で大阪35.78%, 白菜で神戸の2.43%, 甘藍で神戸の2.43%となつていて, 腐敗量は軽視出来ないものがある.
    3) 京都市の塵芥中における蔬菜の量は1955年度に11%, 1956年度に9%で, 不燃焼細塵及び土砂類に次ぐ.
    4) 塵芥堆積中の醗酵熱は, 春夏秋において2~4日で60℃を越すが, 冬季は外気の影響で7~8日後に60℃を越えた. しかし堆積表層部邪は, 外気の影響をうけて充分な醗酵熱を生じない.
    5) 18種の病原菌を供試して, 塵芥堆積中における培養菌の生死について実験をおこなつた結果, 冬季を除く他の季節では深さ4~6cmではすべて菌が死滅したが, 3cmぐらいまでの深さにおいては死滅しないものがある.
    6) 莚或はビニールで塵芥の上を被覆すると, 表層部でもほぼ4日ぐらいを経れば菌は死滅する.
    7) 冬季では表層部0~3cmでは菌は死滅せず, 一部のものはかえつて胞子や菌核の形成が良好であつた. 又莚被覆のものは4~9日後, 全部死滅した.
    8) 塵芥の堆肥利用は, 植物病理学の立場からすれば危険であるが, 堆積表層部の切返えし反転による全体の充分な醗酵を期するか, 莚やビニール等で被覆し表層部の醗酵熱を充分にすることによつて, 病原菌の死滅をはかることが出来る.
  • 安部 卓爾, 野添 早苗
    1959 年 2 巻 p. 23-29
    発行日: 1959/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    1. 本論文に於てはバラの枝葉を侵害する主要病害の病原菌が外観的に健全な芽又は2年生の枝条によつて伝播する可能性に関する2, 3の実験と共に, これが防除の目的で行つた挿穂及び接穂の温湯処理に関する実験結果を収録した.
    2. バラ黒星病病原菌Diplocarpon rosae WOLFの培養菌糸は50℃では5分間の浸漬で完全に死滅し, 45℃では20分以内では死滅せず, 47.5℃では10分間浸漬で死滅した場合もあり, 20分でも生存している場合があつて不定であつた.
    3. 黒星病斑中のDiplocarpon rosae WOLF菌糸並に第2次寄生と見做されるAlternaria sp. の菌糸は50℃5分間の浸漬で完全に死滅したが, 昇汞アルコールのみで表面消毒を行つた同一病斑からはDiplocarpon rosae WOLFが平均51%, Alternaria sp. は平均33%の発生を見た.
    4. 表面消毒を行つた休眠期中のバラの芽からはAlternaria sp., Coryneum sp., Pestalotzia sp., Cryptosporella umbrina (JENKINS) JENKINS et WEHMEIER, Sphaceloma rosarum JENKINS, Diplocarpon rosae WOLF, Macrosporium sp. 及び Fusarium sp. の8種が分離されたが, その中Coryneum sp., Cryptosporella umbrina, Sphaceloma rosarum及びDiplocarpon rosaeの4種はバラの主要病原菌である.
    5. 寒害と称されていたバラ2年生茎の紫褐色斑点部からはPestalotzia sp., Sphaceloma rosarum JENKINS, Botrytis crinerea PERS., Coryneum sp., Diplocarpon rosac WOLF, Cryptosporella umbrina (JENKINS) JENKINS et WEHMETER, Macrosporium sp. など7種の菌が分離されたが, 温湯処理区ではCoryneum sp., Pestalotzia sp. 及びBotrytis cinereaの3種の菌が僅かに発育したのみであつた.
    6. 50℃の温湯処理 (5, 10, 15分) を行つた3種のツルバラの挿木は標準を含めて何れも活着せず不成功に終つたが, 同じく50℃の温湯処理 (5, 10, 20分) を行つたツルバラ2品種を用いての接木は, 5分間処理では40~90%の活着率を示し, この方法はバラの主要病害防除上実用価値の可能性があることを認めた.
  • 桂 〓一
    1959 年 2 巻 p. 30-34
    発行日: 1959/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    1) 本報文はPhytophthora capsici菌の游走子嚢の間接発芽開始までの時間に及ぼす水温の影響と, 游走子嚢発芽の2型がその後如何なる運命を示すかについて観察した結果を記した.
    2) 游走子嚢が水に出逢つてから間接発芽を開始するまでの時間と, 水温との関係について実験した結果, 水温25℃の場合が最も早く平均5.5分で, 就中最も早かつたのは4分であつた. 次に24℃で平均7分, 26℃で平均8.6分, 22℃で平均11.7分などが相次いでいる.
    3) 游走子嚢が水に出逢い間接発芽, 游走子を経て, 被嚢胞子が発芽を最初に開始するまでの時聞は, 21℃で約60分であり, 発芽率は60分で0.6%, 90分で4.7%, 120分で11.8%であつた.
    4) 被嚢胞子の発芽管の先端に形成した小游走子嚢は, 1個の游走子を放出し, いわゆる再回游走性を示す, これは環境状態が好適でない場合に多い現象のようである.
    5) 被嚢胞子の発芽管の先端に楔形の附着器を生じ, その先端部附近から極めて細い侵入管を出すものがある. これは環境状態の好適な場合に多く認められる.
    6) 直接発芽した游走子嚢の発芽管の先端に, 第2次游走子嚢を形成するものがある. この第2次のものの直接発芽せるものには, 更に第3次の游走子嚢を形成する. 故に第n次の游走子嚢は, 第1次のそれのように間接及び直接の発芽の2型を示すもののようである.
  • 中沢 雅典, 加藤 喜重郎
    1959 年 2 巻 p. 35-37
    発行日: 1959/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 近藤 章, 中井 伸治
    1959 年 2 巻 p. 37-38
    発行日: 1959/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    白菜えそモザイク病の秋期発生は, 初期発生時期のアブラ虫の飛来状況, 十字科植物の罹病程度, 寄主範囲, 十字科蔬菜栽培品種の病徴と感受性, 罹病大根, 蕪が本ウイルスを含有している証明等から, ウイルス病徴を示す大根, 蕪が, 重要な第一次発牛源であることを推定した.
  • 蔵納 久男
    1959 年 2 巻 p. 39-40
    発行日: 1959/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    腐敗のうち青黴病・緑黴病などは収穫直前の11, 12月および2, 3月の多雨が最大の影響を与えることが明らかとなつた. 軸腐病は8月と3月の多雨が素因となり, またその他の病害は7, 8月および3月の多雨が, 原因となることが推察された.
    腐敗の原因は温度の高低にかゝわらず, 降雨が有力な因子であると考えられる.
  • 1959 年 2 巻 p. 43-66
    発行日: 1959/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
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