一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第56回大会
セッションID: 2-1-41
会議情報
カプリン酸ナトリウム誘導魚肉水溶性タンパク質ゲルの形成性に及ぼすβ-ラクトグロブリンの補足効果とそのゲル形成機構
*太田 尚子増田 宜子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的
魚肉水溶性タンパク質(Water Soluble Protein:WSP)はその有効利用が強く望まれている。これまで、WSPのゲル化特性に関する基礎的知見並びに卵白アルブミンとの混合系の物性発現について報告してきたが、今回はβ-ラクトグロブリン(β-LG)を用いて、WSPのゲル化に及ぼすβ-LGの補足効果をレオロジー特性の変化から明らかにすると共に、常温下におけるカプリン酸ナトリウム誘導ゲルの形成機構を、タンパク質の二次構造レベルで明らかにすることを目的とした。方法
甘鯛より抽出したWSPを、フィコール400(アマシャム-ファルマシア製)により濃縮し、魚肉水溶性タンパク質濃縮物(Water Soluble Protein Concentrate:WSPC)を得た。WSPCの常温下における、ゲル形成性に及ぼすβ-LGおよびカプリン酸ナトリウム(NaC10:0)添加の影響を、ゲルの離水率測定並びに動的粘弾性測定により調べるとともに、FT-IR分光分析によりその形成機構を解析した。結果
WSPC 7%, β-LG7%から成る混合タンパク質を用いた時、NaC10:0 3.6 %または、4.2 %添加により常温下において保水性の高いゲル状凝集物が形成された。この混合タンパク質14%, NaC10:0 3.6 % 添加では6日目におよそ800Paの貯蔵弾性率を有するゲルが形成された。また、FT-IR分光分析により、NaC10:0 誘導ゲル形成時に、1616 cm-1付近のピーク(分子間β-シート)が増加していることが観察された。更に、この脂肪酸塩誘導ゲルは加熱誘導ゲルの場合にくらべ、より小さい二次構造変化に基づくゲルであることが判った。

著者関連情報
© 2004 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top