目的食肉は良質な蛋白質の供給源でありながら線維が多く、硬くて咀嚼しにくいため高齢者にとって食べにくい食材である。そこで咀嚼や嚥下機能が低下した高齢者でもおいしく食べられる食肉製品開発の基礎的研究を行った。現在注目されている「高齢者ソフト食」の基本調理法を参考に、ポテトフレークを用いて食肉加工品の検討を行った。
方法脂肪を除いた豚ロース肉をミンサー(17000rpm.bamix)で、ミンチしたものをコントロール肉(C)とした。コントロール肉(C)、コントロール肉の20%をマッシュポテト(ポテトフレークと水を4:1で調製)に置換した肉(MP)、コントロール肉の20%をマッシュポテト(17%)とでん粉(3%)に置換した肉(MPS)の3種を試料肉とした。これら3種の試料肉についてテクスチャー特性、水分含有率及び重量減少率を測定し、さらに若年者・高齢者をパネルとした食べ易さの官能評価を行った。
結果ミンチ状のコントロール肉(C)に比べ、その20%をマッシュポテトやでん粉に置換(MPまたはMPS)することにより、テクスチャー特性の硬さはいずれも低下した。また、食べ易さの評価では、若年者・高齢者のいずれのパネルも、これらの試料肉(MPまたはMPS)は有意にやわらかく、残留感が少なく、飲み込み易いと評価した。さらに、マッシュポテトのみ置換した肉MPに比べ、でん粉を加える(MPS)ことで、テクスチャー特性の凝集性が増加し、重量減少率が低下した。また、官能評価ではいずれのパネルも、でん粉を加えたMPSは、有意に残留感が少なく、飲み込み易いと評価した。