一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 2Ha-5
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子どもから見た父親の評価に関する研究
-長野県千曲市の調査から-
寺澤 茜*杉岡 さとる草野 篤子
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抄録

目的 女性の社会進出が進む今日、女性は仕事・家事・育児に追われている。その女性の負担を軽減させる役割担当者として男性が挙げられるが、家庭の中の男性、主に父親は依然として「不在」である。この背景のもと、現代の父親像や父親の実態を子どもの父親評価や、先行研究と比較することで検討する。また、父親が「存在」する家庭・社会を築くために、これからの父親に求められるもの、必要なものは何かを考察する。
方法 先行研究を参考に独自な調査票を作成し、質問紙による配票調査を行った。2004年10月に長野県千曲市内の公立小学校4_から_6年生を対象とした。調査当日に出席した児童全232名から回答を得た。その内、父親のいる児童からの回答は215票であった(有効率92.7%)。分析にはSPSS統計パッケージを用いた。先行研究(総務庁調査,1986年)の集計値と比較し、本調査集計値においてクロス集計、カイ2乗検定等を行うなどして、父親の実態や子どもが抱く父親像とそれに影響を与える要因を探り、考察を加えた。
結果 (1)父親の子どもと過ごす時間は短い。特に仕事のある平日は30分未満の父親が6割を越す。父親の仕事が子どもとのコミュニケーションを阻害している現状がある。(2)先行研究との比較より、子どもが父親に抱くイメージはより好感的になっている一方、父親が子供をどう思っているかはわからない傾向にある。また、父親の威厳は消失の方向に向かっている。更に子どもは父親に対する思いやりの気持ちが薄くなっている。(3)父親の家事参加が進んできており、父親の家事労働について7割の子どもは「よいことだ」と評価している。また、父親が家事に協力する理由、協力しない理由について、男子の方が父親に対して寛容である。(4)男女間で父親の家庭内の地位に対する評価に違いがみられた。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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